おもちゃから秘密の小部屋まで!一人一人のペースで絵本に親しめる、スウェーデンの図書館(2)の続きです。
子どもしか入れない?おもちゃがたくさんの隠し部屋
隠し部屋の入り口は、ここ。先ほど降りてきた階段の下にありました。
2歳児がかがんでようやく入れるサイズの穴。大人がここから入るのは、かなり難しそうです・・・。
先ほどまでいた「子ども部屋」からも細い隙間があって入れるようになっているので、そちらから覗いてみると、中はこのようになっていました。
右手には絵本のワンシーンが壁一面に描かれていて、左手には積み木や形合わせ、ルーピングなどのおもちゃがたくさん置かれています。
奥の左手にあるのが、先ほどの穴。天井は、階段の傾斜にあわせて斜めになっています。ここで大人が過ごそうとすると、かがまなければなりません。
基本的に、ここは子どもたちだけが過ごす部屋になっているようです。
隠し部屋を穴の方から見るとこんな感じ(↓)。右手奥が先ほどまでいた「子ども部屋」です。
真正面にあるふくろう(?)の描かれた暗いスペースは、床にクッションが置いてあって、絵本を寝転んで読めるスペースになっていました。間接照明の光が落ち着く、狭くてとても居心地の良い空間です(↓)。
”ああ、ほんをよむのって、なんてすてきなんだろう!”
子どもだけの空間で、国・年齢・性別を越えた交流がはじまる
隠し部屋は、子どもたちだけの空間。子どもがこの部屋に入ると、大人たちは「子ども部屋」のクッションで寝転んだりくつろいで過ごしていました。
この隠し部屋では、一つのおもちゃに夢中になっている子もいれば、次から次へと新しいおもちゃを出してくる子もいれば、「子ども部屋」にあったコスチュームのマントをつけて駆けてくる子も。お友達の家に遊びにきたような雰囲気でした。
こっそり覗いていると、子どもたちは一緒に遊んだり、年上の子が年下の子を気にかけたり、興味深そうに他の子を覗いたり。子どもたちだけの空間で、おもちゃを介して自然と交流がはじまっていました。
スウェーデン人の子だけでなく、ソマリアからの移民の子、中国系の子などなど、国籍や年齢、性別も様々(↓)。
子ども一人一人のペースで本に親しめる「また来たくなる」図書館
図書館にやってきた子どもたちを観察していると、キッズスペースの様々なしかけを、一人一人が自由気ままに行き来している様子が見られました。
舞台でおはなしの世界を演じたら、コスチュームをつけたまま隠し部屋に行っておもちゃで遊ぶ。ひたすら遊んでいたかと思えば、絵本をひっぱりだしてきて自分で読んでみる。難しいから親のところに行って絵本を読んでもらう。
そんな感じで、一人一人が、その時々の興味に合わせて部屋中を自由にぐるぐるぐるぐる動いていました。
他にも紹介しきれていない素敵なしかけがたくさんあるのですが、とにかく、子ども一人一人が自分の興味にあわせて動いていたら、知らず知らずのうちに、絵本を読むことが身近になっていく場所だと感じました。
(↑)男の子二人を連れてきていたお父さん。訪問時は平日の日中でしたが、子どもを連れてきていたのは半分ほどがお父さんやおばあちゃんでした。
どの地域でも図書館は充実しているのか?
子どもが自然と絵本に親しめる場所が、子どものための施設(児童館のような)にあるのではなく「大人が自ら学ぶ図書館という場にある」ということが、とても特徴的だと思いました。
でも、このような設備は、ウプサラ市立図書館だけの特徴かもしれません。
「他の地域の図書館は、どうなっているのだろう?」
そんな疑問が出てきたので、その後、スウェーデン・デンマーク4つの都市で図書館を偵察してくることにしました。
結果、どこの図書館も、キッズスペースは「本を静かに読む場所」ではなく、子どもが本を中心に演じたり、遊んだり、様々な角度から楽しめるよう設計されていました。大人向けのスペースに関しても、それぞれの図書館で面白いしかけが沢山あったので、今後「図書館シリーズ」として少しずつアップしていく予定です。(いきなりマニアックな方向にいきますが…)
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