「デンマークで保育士」特別寄稿コラム vol. 1 森のようちえん

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デンマークでは、どのような保育をしているのでしょうか?
デンマークで保育士経験のある遠藤祐太郎さんが現在執筆中の書籍「デンマークで保育士2022(仮題)」からの寄稿コラム。初回のテーマは「森のようちえん」です。

 

子どもも大人も五感が研ぎ澄まされる、森のようちえん

 

日本でも知られている「森のようちえん」。森のようちえんはデンマーク発祥で、北欧をはじめ、各地でも人気があり、もちろん日本でも人気がある。デンマークではほとんどの園が森のようちえんに値する。なぜならデンマークの保育園、幼稚園では散歩や遠足になると森に行くことが一般的であり、外で過ごすことが極めて大切であることをどの園でも理解している。

 

森のようちえんにはいろんな種類があるが、基本的に外で過ごし、活動をする。森の中では自然を肌で感じる事ができる。五感を鍛えることができる。例えば鳥の鳴き声を聞き、どこにいるかを探し、また感じる。生き物を見つければ、この生き物は何をしているのか、またどのように生きているのか?それを知ることができる。五感を鍛えることで、興味や関心を持ちやすくなる。

 

デンマークの保育士は森の中へ行くと、頻繁に耳をすませるようにする。

 

「ほら、何か聞こえるよ?」

 

そのように、子どもたちに関心を持つよう促す。保育士も五感を研ぎすませて、いろいろな発見を経験させていく。子どもたちだけでなく、大人も同じように感じている。森の中で過ごす時間は、時が止まっているように、また心が落ち着く。面白いことに、激しいあそびをしている子どもたちでも、森の中では愉快なあそびに見える。

 

森の中で過ごすことは、子どもに限らず、大人も落ち着く。デンマークの森のようちえんをはじめたきっかけは、こういうことが影響しているのでは、と思っている。

 

ノコギリで薪を割り、焚き火を囲む。子どもたちも手伝う外での食事

 

デンマークのほとんどの園では外で食事をすることがある。担当の保育士が薪を集め、火を起こし料理を作る。一般的にパスタやカレー、またスウェーデン風料理などを作る。

 

その時に魅力的なことと言えば、子どもたちも一緒にお手伝いをすること。ノコギリで薪を小さくしたり、細かくしたりする。まだ3歳になりたての子どもも行う。もちろん子ども用の刃にはなっているが、危険性はある。その時は保育士がそばにいなければいけないというルールがある。

 

料理ができあがってくるのを楽しみにして、子どもたちが焚き火のそばに集まってくる。ここもとても危険性が強いが、子どもたちは危険性を理解しているように、そばにいる。また寒いときには、火の周りは暖かい。そのことも理解している。

 

料理ができあがると保育士は「Vi skal spise!(食べましょう)」と大きい声をあげ、子どもたちを集める。保育士が出来上がった料理をお皿に入れ配る。外でみんなと輪になって食事をするのは喜ばしいことだ。この時の食事は何よりも愉快である。

 

私が働いていた園では毎週金曜日に外で食べる日となっていた。だからこの日は朝から外で過ごし、お迎えが来るまで外で遊んでいる。外で食事をする楽しさをみんなで感じる。自然とともに。

 

 

雨の日でも外で遊ぶ

 

雨の中の遊びは楽しい、そう思わされたのはデンマークで保育士をしていた29歳の時だった。それまでは「雨」はあまり良い印象がなく、室内で遊ぶことしか出来ないと勝手に思い込んでいて、ましては雨に濡れてしまうと「風邪をひく」「病気をする」という子どもの頃から聞かされていた。

 

しかしそのことをデンマークの保育士に伝えると、疑問な顔をしていた。「雨に濡れても病気にはならないし、むしろ元気になる」というアナス。デンマーク人は体温が高いというのもあるかもしれない。

 

雨に濡れた園庭は危険がたくさん潜んでいる。濡れた遊具、濡れた草の道、そして滑り転びやすく、転倒しやすい。それを危険とは捉えず、あえて良い経験になるという判断がデンマークらしい。濡れている遊具、場所を歩くのはいつも以上に力を入れなくてはいけない。子どもたちは転ばないため、滑らないため、工夫しなければならない。

 

また、雨の中遊ぶことは創造力や五感に良い刺激だと言う。確かにその通りだと思う。雨の中でしか出来ない遊び、雨の中でしか楽しめない遊びがある。それは30歳手間になるとき、デンマークで保育士をして強く感じたことだ。

 

 

寄稿:遠藤 祐太郎
保育士・学童スタッフ・デンマーク留学アドバイザー

1986年東京生まれ、2006年日本児童教育専門学校卒業。2009年に保育士資格を取得。立川市内の保育園に勤務した後、2014年8〜12月までオレロップ体育アカデミー(フォルケホイスコーレ)留学。2015年2月〜8月までデンマークのベァネゴーンイオレロップ保育園に勤務。同年8月帰国。現在は都内の私立保育園と学童に勤務し、かつ年に1度のペースでデンマークで保育研修をしている。
『デンマークで保育士―デンマークの子どもたちからもらったステキな時間』著者。

 

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