Event report: Learning of 21st century with the hint from Nordic education

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Sorry, only in Japanese.

2017年5月27日(土)、品川のコクヨスタジオにて、「北欧の教育をヒントに考える、21世紀の『学び』」を開催しました。

大学で教育に携わる先生、企業で人事に関わる方、保育施設を運営される方といった教育関係の方々だけでなく、企業で事業企画に関わる方、医療に従事される方々、フリーランスとして働く方々、お子さんの教育に関心ある保護者の方、学生さんなど、様々なバックグラウンドをもつ約40名の方にご参加いただきました。

感性とコラボレーション力、創造性をはぐくむ北欧の教育

第一部では、「SapiensからHomo deusへ」をテーマに、東海大学名誉教授でストックホルム在住の川崎一彦先生に話題提供をいただきました。

「工業から知業へと向かい、AIが台頭してくる時代に、学びの質はどう変化するのか?」
「なぜ今、北欧型の学びなのか?」
といった問いについて、「サピエンス全史」と続編「Homo deus」の引用もまじえてお話しいただきました。

AIが台頭してくる時代、価値をもってくるのは、コンピュータがもたない「感性=ものごとを”感じる”能力」、そして人間だけがもつ「コラボレーション力」
北欧の創造性教育、起業家精神教育、五感で感じ学ぶアウトドア教育などは、これらの力を育む土壌となっている、というお話しがありました。

”脳は考え、多分理解することもできます。
歩くときに一番分かるのは足です。
ものを背負うときに一番感じるのは背中です。
学びには身体全てが必要です。
私たちの地球を学ぼうとするなら言葉だけでは不十分です。
もっと近づかなければなりません。
学びには身体全てが必要です。”

起業家精神とは、アイデアを行動に翻訳する個人の資質のこと”(フィンランド教育庁)

また、「創造性は育成可能」ということで、いくつか事例もご紹介いただきました。

一つのキーワードは、“Do something different”(いつもと違うことをしてみる)

実際に、参加者の方に利き手でない手で名前を書く、参加者同士で互いの似顔絵を描く、というワークを実施いただきました。必ずしも大がかりな取り組みでなくとも、日々少し行動を変えるだけでも創造性はのばせる、ということです。

問いをたて、答えを見出し、アクションプランを考える

第二部では、参加者一人一人が話しあいたいキーワードを紙に書き出し、近いキーワードを書いている人とグループを作って、グループワークを行いました。

選ばれたテーマは、「創造性」「起業家精神」「アクティブラーニング」「感性」「自己効力感」「学びとは何か」など。

デンマーク大使館に勤務のご経験がある新谷舞子さんに主導いただき、デンマークの学校でも行われている手法でグループワークを進めていきました。

「WhyとHowを意識して、」
「問いをつくり、答えをつくり、アクションプランを考え、5年間のロードマップをつくる」

1時間後に上記を発表する、ということ以外、細かい進め方や発表の指定はありません。

初めて出会った人同士で、議論をどう主導するのか、どう時間をきるのか、どんな発表形態にするのか。時間の制約のなかで、一人一人が考え、リードし、共にくみたてる。第一部のお話しに出ていた「コラボレーション」にも重なります。

ワークは、外のテラスも使い、北欧のコーヒーブレイク「フィーカ」をしながら、心身ともにゆるんだ状態で行いました。
仕事や勉強する場所を変えたり、一日に数回ブレイクをとってお菓子をつまみながら同僚とお喋りをしたり。このような空間や時間の使い方も、北欧で創造性を高めるための特徴的なしかけといえるかもしれません。


©momolab photograph

その後、グループごとに発表し、アウトプットを共有しあいました。

創造性には、負荷と余白が必要なんです”(新谷さん)

初対面の人と短時間で議論しアウトプットをだすという「負荷」と、やり方に細かな指定のない「余白」、多様な背景をもつ人とのコラボレーション。おそらく多くの方が感じた”不消化感”も含めて、北欧の学び方のエッセンスを体感いただけたのではないかと思います。

北欧の学びのエッセンスを、一人一人の文脈に落としていくために

ご参加いただいた方からは、様々な感想をいただきました。

一口に北欧・教育といっても様々な切り口・考え方がある。自分と異なる問題意識を持っている方と話せたのは面白かった
大人になっても様々な立場の人が集まって考えていけるのは素晴らしいことだと思った
ユニークなアイデア、意見が見られ、問題解決の糸口が見つかる期待感が高まった
・「問い」をたて、「動いてみる」。この継続が、自分の中の「創造性」を育んで行く(オリジナリティを形成していく)ことにつながるのだと改めて感じた


©momolab photograph

また、もっと深めたいことについても様々なアイデアがあがりました。

自分自身がもっと行動できるようになるにはどうしたら良いかを知るため、実際に行動している人に会いたい
・今回は創造性の良い側面だけが取り上げられていたが、こぼれ落ちる人はいないのか。負の側面も知りたい
・新たな視点を得るだけでなく、見識を得るまでの深い掘り下げ・議論
・今日皆で話したことを広めて行くためには、具体的にどう行動していけばいいか、アイデアを出しあいたい

”北欧の学び”から得られるヒント・インスピレーションを、一人一人、そして日本という文脈の中でどうアウトプットに落としていくか。まだまだ試行錯誤で進めています。
課題意識をもつ方々と緩やかにつながりながら、引き続き、共に考える場を設けていけたらと思います。


*次回は7月22日にデンマークからゲストを招いてイベントを予定しています。次回はインプット中心の内容になりますが、ご興味をお持ちいただきましたら、ぜひ遊びにいらしてください!

*北欧の教育・学びLilla Turenでは、Webやリアルな場を通して様々な切り口から情報発信を行っていきますが、もっとフラットに双方向の議論を深めて行く場として、Facebookグループ「JAPAN∞HOKUO」が始動しました。ご関心のある方は、ぜひお気軽に、ご参加ください!