おもちゃから秘密の小部屋まで!一人一人のペースで絵本に親しめる、スウェーデンの図書館(1)

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「学びと対話のしかけ」を探る旅のスタートは、スウェーデンの図書館のキッズコーナーから。

きっかけは、現地での仕事中、子どもが飽きずに過ごせる場所がないかな?と思って足を運んだことでした。一歩足を踏み入れて、びっくり!そこは、「図書館=静かに本を読む場所」という概念をくつがえす、子どもたちが絵本を中心に遊び、学び、交流する場でした。

北欧の「学びと対話のしかけ」の縮図があるように感じたので、まずはこの場所から記事をスタートすることにしました。

北欧最古の大学がある町、ウプサラの図書館を訪ねて

首都ストックホルムから電車で40分北へ行ったスウェーデン中部の都市、ウプサラ。約15万人の人口を擁す、スウェーデン第四の都市です。

北欧最古の大学、ウプサラ大学(1477年創立)があり、学生の町としてにぎわっています。北欧最大級の教会建築としても知られるウプサラ大聖堂が町のシンボルとなっていて、晴れた日には、近くを流れるフリリス川の川面に美しくその姿を映しています。

町の中心にある大広場(ストゥーラ・トリエ)から徒歩5分程メイン通りを歩いたところにあるのが、ウプサラ市立図書館です。私も学生時代からスウェーデンの図書館にはよく通っており、その充実ぶりは知っていましたが、キッズコーナーに足を運んだことはありませんでした。

入り口から、子どもに寄り添ったつくり

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まず、建物の入り口に向かうと、階段の前でミニエレベーターが目に入ってきます。このような少しの段差であっても、車いすやベビーカーへの配慮があるようです。(ちなみに北欧滞在中、町中やお店等どこにでもミニエレベーターやスロープが整備されていました。ベビーカーで町を回るのに、大変さを感じることがほとんどありませんでした)

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子どもと若者向けのコーナーは地下にあるようです。(学生時代は気づいていませんでした)
階段横の壁には、「Mys(寄り添おう)」「Läs(読もう)」「Lek(遊ぼう)」と書かれています。

階段を下って行くと(エレベーターもあります)、乳幼児向けコーナー「Barnkammaren(子ども部屋)」の入り口が。

ちなみに、ここで使われている「Kammaren」という単語は、「会議室(Chamber)」を意味します。政治の「一院制」を表す「Enkammarsystem」にも使われている言葉です。この言葉のチョイスには何か意図があるのか、追って確認してみたいと思います。

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門をくぐってスタスタ入って行こうとしたら、館員さんに呼び止められました。

「ここでは靴を脱いで。小さな子たちがハイハイをする場所だから」

わわ!失礼しました。急いで靴を脱いで門をくぐると、そこにはとっても素敵な空間が広がっていました!

部屋の中にはくつろげるソファや椅子がたくさん!「おほしさま」に会えるスペースも。

部屋の中には、たくさんのソファや座り心地のよさそうな椅子、クッションが!

ソファに座って読み聞かせをしている親子がいたり、お母さんがソファに寝そべってその前を子どもが自由にハイハイしていたり、くつろいだ光景も見られました(笑)

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こちらには、車の運転席のような椅子もあります。ちゃんとハンドルも回るので、「運転」をして遊んでいる子もいれば、相席して一緒に遊んでいる子たちもれば、ハンドルの上に絵本を置いて読んでいる子もいました。

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さらには、こんな素敵なソファ?椅子?も!!!

壁が円形にくりぬかれていて、奥の壁には星空が描かれています。(照明も星の明かりのようで、ロマンチック。)大人と子どもが寝そべれるぐらいのスペースがあって、「星空」の下で寝っころがって絵本を読むという素敵な過ごし方ができます。

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子どもはこのスペースが気に入ったようで、「おほしさまに、あいにいくよ〜!」と絵本を持って行っていました。

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「星空の下」で横になって絵本を読んでいると、なんだか眠たくなってきます。子どもだけでなく、親も家のようにくつろいで過ごせる空間です。

そのとき、ふと部屋の片隅を見ると・・・

そこには、あのおはなしに出てくるものが・・・!

 

おもちゃから秘密の小部屋まで。一人一人のペースで絵本に親しめる、スウェーデンの図書館(2)へ続く

 

 

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