スウェーデン中部にある人口約28万人の県、ダーラナ県。首都ストックホルムから電車で約3時間。スウェーデンの心のふるさとといわれ、湖や山に包まれた原風景と、伝統文化が残る地域です。
この県にあるのが、北海道の当別町と姉妹都市になっている人口15,000人の町、レクサンド市。日本のハウスメーカー・スウェーデンハウスさんもオーナーである部材メーカーTomoku Hus ABがあり、日本へプレハブ住宅を輸出しています。観光業とともに、木材業が大きな産業です。
この町の中心から木々の中を5分程歩いた所にあるレクサンド教会は、地方の教会の中では最も大きい教会の一つ。現在の建物は18世紀に建てられたものですが、一番古い部分は13世紀に建てられた歴史ある教会です。ふらりと中に入ってみたところ、またまた、とっても楽しいスペースを発見しました。
2,300席が用意された、バロック様式の荘厳な教会
ロシア建築に影響を受けたとされる玉ねぎ型のドームと明るいベージュの外観が、かわいらしい建物です。
中に入ってみると一転、静かで荘厳な雰囲気。空気が一気にひんやりとします。
全体的には荘厳な雰囲気でありながら、ところどころの装飾はバロック様式で華やか。
祭壇まで歩いて行って、入り口の方を振り返ると、2階に立派なパイプオルガンと祭壇画が見えます。
右手の階段から、2階に登れるようです。登ってみましょう。
ぱーっと視界が広がり、1階・2階全体が見渡せます。座席は全部で2,300席あるとのことでしたが、2階にもたくさん席があるようです。
・・・と。
1階の座席の最後列の先に、何かカラフルなスペースを発見。(上の写真中央、柱の左手に紫・赤・緑が見えますか?)
早速降りて行ってみると、こんな素敵なスペースが!子ども用のスペースのようです。
一般的なおもちゃや絵本とともに、聖書の内容に触れられる絵本やボードゲームが
キッズスペースには、ぬいぐるみや絵本がたくさん並んでいました。
礼拝の時間など、小さな子どもが長時間椅子に座ってじっとしているのは難しいもの。こんなスペースがあったら、親も安心して子どもを教会へ連れて行けそうです。
よくよく見てみると、聖職者のコスチュームのようなものや、絵本コーナーには生き物や民話などの絵本に交じって、聖書に関する絵本が。
“BARNENS BIBEL(子どもの聖書)”
机の上にあるボードゲームにも、天使や聖書の登場人物らしきコマがセットされています。
何より驚いたのが、子ども用スペースが大人たちの座席の最後部にあり、その間に何のしきりもなかったことです。
大人が礼拝をしている同じ空間で子どもたちは遊び、自分が興味をもったタイミングで聖書の世界に触れ、大人たちのやっていることに加わって行く。飽きたらまた遊びに戻って行く。
そんな場の設計になっていました。
一人一人の興味をもつ入り口は、それぞれ違う。
興味をもつタイミングも、それぞれ違う。
違いがあることを前提に、子ども一人一人のペースで大人のコミュニュティに親しめる、そんな場の設計になっているように感じられました。図書館のキッズコーナーで見られたものと同じ思想が、根底にあるのかもしれません。
コミュニティの中の「場」のあり方、特に子どもを取り巻く環境について、引き続き探って行きたいと思います。
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