プログラムレポート:対話でふかめるデンマーク教育視察プログラム Day3 – 森のようちえん こども島ボンサイ(前編)

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2023年8月21日(月)~25日(金)、デンマークで開催した「対話でふかめるデンマーク教育視察プログラム」。現地でのプログラムの様子を、参加者レポートとともにお届けします。

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【活動同行・観察】遊びを通じて育まれる自尊心と自信

ついにボンサイでの研修最終日となる3日目。

この日はボンサイ到着前に、近くにある海辺を少し散策。自然の中で深呼吸してから、研修に向かいます。

 

散歩中の犬も気持ちよさそう。後ろではヨガをしているグループもいました。

 

3日目の午前も、昨日に続き各グループに分かれて子どもたちの活動に同行します。

この日も子どもたちと一緒に朝の会からスタート。

出席確認とあわせて、「今日やること」「旗の立てられている中で遊ぶこと」「大人の目の届くところで遊ぶこと」といった安全に過ごすための約束が先生から伝えられて一日が始まります。

この日はグループごとに、収穫祭に向けた準備をしました。

 

このグループは、小麦を地面に叩きつけて脱穀を行いました。

この動作は、初日に美奈子さんに教えていただいた歌遊びで、子どもたちも朝の会で繰り返し歌っていた歌の中で行われていたもの。

歌遊びと実際の体験が結びつくことで、より子どもたちの記憶に残りやすくなり、発達へも影響を与えるように感じました。

 

 

別のグループは、切った木の枝から収穫祭で飾る人形を作っていました。

 

ボンサイでは、このように刃物を使った活動も行っています。

こうした危険を伴う遊びについては、大人が手を持って一緒に使う、ガード付きのナイフをひとりで使う、ガードなしのナイフをひとりで使う、といった段階を、年齢や子どもたちの習熟度合いを見ながら踏んでいるのだそう。

手前の子どもは一人でナイフを使って作業、奥にいる子どもたちは先生にナイフの使い方のお手本を見せてもらっている

 

危険を伴う遊びに限らず、すべての活動についてみんなで無理に一斉に取り組むことはせず、あくまでやりたい子が自由意思で参加するのを大切にしている様子も、様々な場面で見受けられました。

先生は、子どもたちが「面白そうだな」「やってみたいな」と自分で思えるように、語りかけたり先生自身がやってみせたりすることで子どもたちの行動を促します。

 

また、子どもが自分自身の力でどこまでできるのかを自分で認識できるよう、ひとりで遊びに取り組むときに大人が必要以上の手助けをしないというお話も印象的でした。

そうすることで、自分は難しいことができた、危険なこともできたと子ども自身が思えることが、自信につながっていくのだそうです。

 

 

もうひとつの別のグループは、近くの池までお散歩したあと、池のほとりでバター作りに挑戦。

水辺で子どもたちが楽しく遊んでいる時に、先生がバター作りをするよと子どもたちに声かけをし始めました。

子どもたちは水に石や草を投げ入れて遊ぶことに夢中になっていたので、そんなにすんなり他のアクティビティの方に行ってくれるのかな、と思っていたのですが、驚くほどすんなりとやっていた遊びをやめてバター作りに移っていきました。

先生によると、子どもたちは自分の手によって何かが出来上がるという体験が大好きなため、喜んで次の活動に移るのだそう。

確かに、瓶に入ったクリームを振っている時の子どもたちはとても集中していて、大人が「こういうふうに固まってくるんだよ」と実際に作っている途中のものを見せると、俄然やる気になって取り組んでいました。

この時、お互いにアドバイスをし合っている姿が見られたのも印象的でした。

みんなで手分けして一つのことを成し遂げるのも大切な活動ですが、みんなで同じことをやることで、お互いに助けたり手伝ってもらったりするという大切な行動も体験できるのだなと感じました

参加者ライター・大村初さんレポートより

 

これも、先ほどご紹介した先生の語りかけと、子どもたちが「やってみたい」と思って自ら取り組む活動の例のひとつです。

バターが固まってきて、先生や私たち参加者に「ほら見て!」と瓶を目の前に持ってきてくれた子どもたちの自信に満ちた笑顔が、とても印象に残っています。

 

 

【ランチタイム】対話を通じてそれぞれの問いが見えてくる

午前の活動の後は、グループごとにメンターと一緒にランチを囲みます。

3日間を一緒に過ごしたメンターとはすっかり打ち解け、教育のこと、デンマークのことなど自然と話が弾むようになります。

あるグループでは、デンマークの教育観について以下のような話が出ていました。

昼休みの時に私のグループのKatrineが、デンマークでは外からの教育と内からの教育の2つを軸にしているという話をしてくれました。

内からの教育が日本ではあまり馴染みのないもののように思えたので、フェアウェルディナーの際に詳しく聞いてみると、内からの教育における本質は、「自分が自分であることが良いことである」ということを知ることなのだそう。

日本では、他人に迷惑をかけないことが最優先事項で、他人が嫌がるかもしれないと思ったら、自分の気持ちを押し殺してでも相手が気を悪くしないように振る舞うことが当たり前になっていると私は思います。

実際、日本の友達と話をしている時、自分は良くない、誰かと比べたらまだまだだ、というような内容をよく聞きます。他人と比べて自分がどうか、ということを他の文化よりも日本では気にしているように感じました。このような文化の中にいるとやはり、自分の個性に自信を持って、自分を好きになることがより難しくなるのではないか?

この話は私にとってかなり興味深いものでした。

参加者ライター・大村初さんレポートより

 

教育という視点から始まった研修ですが、個々の中で自分がフォーカスしたい問いが生まれてきているのを感じます。

大村さん以外の参加者の方からも、それぞれの視点、フォーカスしたい問いが続々と湧き出てきます。

自分たちが場を運営するうえでの枠組みを見直したい

(森のようちえんを運営をされている方)

自分の中の『こうあらねばならない』という固定観念に気づいた、呪いが解けた

(教師であり子育て中の参加者の方)

 

同じプログラムを体験しているけれども、そこで得られる気づきや視点は、それぞれの参加者の方が置かれている立場や状況、抱えている課題に応じて様々です。

各自が感じたことや考えたことをシェアすることで、また新たな気づきにつながっていく、そういった対話による思考の循環の時間をつくることが、まさに主催の私たちが実現したいと感じていたことでした。

 

自分の中にあるものと向き合うこと、そして対話を通じて自分の外にあるものと出会うことは、午後のプログラムでも続いていきます。

 


 

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Photo by Masato Sezawa

Report by Mai Kikuchi